2026/8/19
店主 川越文雄
川越 文雄
十代より料理の道に入り、日本料理の老舗である「なだ万」へ。帝国ホテル「東京 なだ万」、ホテルニューオータニ「なだ万本店 山茶花荘」を経て、名古屋東急ホテル「名古屋 なだ万」の料理長を務めその最盛期を支えました。
2005年、愛知万博の際には国内外から訪れる、ご皇族の皆様や各国首脳の方々の料理を担当。このときの「ひつまぶし」にまつわる逸話は、川越の魅力を伝える一端となっています。
2008年には、卓越した日本料理の技能を認められ「あいちの名工」を受賞しました。
そして2009年、名古屋市中区丸の内に「日本料理 川越」を開業。
料理は美味しくあることはもちろん、季節を感じ素材の持ち味を活かし、召し上がる方の心に残るものでありたいと思っています。
素材への敬意。季節への感謝。伝統への信頼。そしてお客様に喜んでいただきたいという、料理人としての変わらぬ想い――。これからも「日本料理 川越」は、一人ひとりのお客様とのご縁を大切にしながら、丁寧な仕事を積み重ねてまいります。
料理人・川越文雄が歩んできた歳月と、名古屋の地で育んできた日本料理を、ごゆっくりお楽しみください。
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- こだわりの出汁と調理の様子
読んで味わう川越
カウンター席に座ったら、店主の川越に少しゆとりがありそうときに、声をかけてみてください。話題はできれば目の前の料理について。興が乗れば手順や素材の量に調理時間まで話すこともあり、これを楽しみにしているというお客様もいらっしゃいます。
少し訛りが残っていて、どちらかというと口下手で、基本的には料理で語りたいタイプです。最近は歳を重ねて旨味に鋭敏になってきたとも。一般的には加齢と共に味付けが濃くなると言われますが、川越は逆のようです。
味が濃いと感じたら思い切って伝えてみてください。きっとその場で薄めて味を整えてくれるでしょう。これもまた旨味を感じていただきたいからです。味が薄いと感じたらまずは食べ方を尋ねてみてください。新しい発見があるかもしれません。
例えば鮎の姿焼き。一緒にお出しする蓼酢(たでず)は、ミキサーにかけた蓼の葉をお粥のように炊いた手の込んだもので、一緒に食べると鮎本来の旨味を感じられます。よくある塩焼きとは別物です。気づかずに食べていたら、とてももったないことになります。
川越の料理の原体験は母の味です。ふるさと宮崎の折生迫(おりゅうざこ)という港町では、鰯や鰺、鰹がよく揚がり、子どもの頃から新鮮な地の魚に親しんでいました。祖母は料亭の女将で母もその味をよく伝え、家庭料理であってもきちんと手間をかけて作ってくれたと言います。
修業時代、技はすべて観て覚えたと言います。「これは」という分量がわかったときには、用足しをすると言って厨房から飛び出し、一人隠れて手帳に書き付けたとか。厳しさばかりがとりざたされますが、真剣さが五感を刺激し感性を開かせてくれました。
そのすべては一人ひとりのお客様に、本当の旬の楽しみをお届けすることに繋がっています。その思いは、季節が変わる前に同じお客様がもう一度いらしたときに、同じ素材で別のメニューでお出しするという、きめ細やかな対応にも現れています。